朝鮮半島と縄文時代

縄文時代と朝鮮半島
朝鮮半島 Wikipedia

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日本の縄文人と朝鮮半島の関係について、新たな知見を与えてくれる情報が加わり、アップデートされましたので、ここに書いておこうと思います。

朝鮮半島南端・加德島 獐項遺跡の繩文人

『古代史サイエンス』金澤正由樹著 鳥影社および「尖閣480年史 -今古循環、愚智往復 480 years history of Senkakus」からの引用です。

興味深いのは、韓国人の位置で、これは朝鮮半島集団の基層にも、縄文につながる人たちの遺伝子があることを意味している。このことは縄文人が韓国にまで分布していたと考えるよりは、初期拡散で大陸沿岸を北上したグループの遺伝子が朝鮮半島にも残っていたと考える方が理解しやすい。それを証明しているのが6千年前の韓国新石器時代の獐項ヤンハン遺跡の2体のゲノムで、いずれも現代の韓国人よりも縄文的な遺伝的要素を持っている。

とっとり弥生の王国 特集『続・倭人の真実』2021 Autumn

ここで注目すべきは、獐項遺跡のゲノムから縄文系のDNAが見つかったという事実です。
国立科学博物館の神澤秀明博士によると、ミトコンドリアDNAのハプログループD4b1とD4aの2種類で女性のものです。
D4は日本人に最も多い、モンゴロイド系とされる遺伝子です。

そして、金澤正由樹さんは、著書やブログで、こう述べています。

弥生人のDNAは現代日本人とほぼ同じですが、なぜか約6000年前(縄文時代)の朝鮮半島南部人(釜山近くの獐項遺跡)ともほぼ一致していました。

■7300年前の鬼界カルデラ大噴火の影響か
これは、薩摩半島の南方50kmにある鬼界カルデラが約7300年前に大噴火し、分厚い火山灰で南部九州の縄文人は壊滅したものの、かろうじて生き残った北部九州の縄文人が朝鮮半島南部にまで避難し、その後に北方から来た中国大陸人と混血した…という驚くべき歴史があった可能性を示しています。

古代史サイエンス
とっとり弥生の王国 特集『続・倭人の真実』2021 Autumn P19

SNPデータを用いた主成分分析により、約6300年前の朝鮮半島南部に住んでいた女性のDNAは現代日本人とほぼ同じとなっています。(とっとり弥生の王国 特集『続・倭人の真実』2021 Autumn P19 青谷上寺地遺跡出土人骨から何が見えてきたのかより)

朝鮮半島と縄文人

鬼界カルデラの破局噴火で緊急避難した縄文人

そして、興味深い論説が7300年前の鬼界カルデラの破局噴火によって、九州の縄文人が朝鮮半島に移り住んだというものです。
朝鮮半島南部を除き北部から中部にかけて、BC10,000~5,000年まで、遺跡がほとんど発見されず人は住んでいませんでした。
誰も住んでいなかった半島に日本から縄文人が緊急避難するために流れ込んだというのです。
これは、信憑性の有る論説です。

もちろん、鬼界カルデラの破局噴火が起こる前から、対馬や九州北部を通じて交易が行われ、縄文人が移り住んだという見方もできるでしょう。
しかし、それほど魅力的ではない人の済まない荒野に移住するかといえば、移住しないのが一般的でしょう。
やはり、何らかのイベントが起こらない限り、移住に至ることはないと考えられます。
そういう意味で、鬼界カルデラの破局噴火は、移住に至るきっかけとなる大イベントだと言えるでしょう。

幸屋火砕流と鬼界アカホヤの広がり。九州南部・東部、四国、本州瀬戸内海沿い、および和歌山県で20 cm以上あり、広くは朝鮮半島南部や東北地方にも分布する。 Wikipedia

鬼界カルデラは、薩摩半島から約50 km南の大隅海峡にあるカルデラの海底火山です。
直径は約20 kmにおよび、薩摩硫黄島、竹島がカルデラ北縁の外輪山になり、カルデラ中央海底には、単一の火口としては世界最大規模の溶岩ドームがあるそうです。
現在も、溶岩ドームからは火山性ガスが噴出し、薩摩硫黄島はランクAの活火山に指定されています。
鬼界カルデラの近くには、種子島や屋久島があります。

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